憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「憑霊ゲームには関わるなって言ったじゃない! 何クラスメートに聞いて歩いてんのよ!?」
「だ、大丈夫すよ! 七海さんが憑霊ゲームの夢を見てることは誰にも言ってないっす。それに昨日のことも、話してないすから!」
「そういう問題じゃなくて!! ……昨日のあたしを見たでしょ!? これ以上は、憑霊ゲームに関わること自体、危険なのよ!!」
あたしは少し熱くなって英美に言った。
「そのくらい重々分かってるっす!! ……でもそんなこと、オレには関係ないんすよ!!!!」
英美は興奮した様子で言い返した。英美がこんなにあたしに強く言ったのは初めてだった。
驚いたあたしはじっと英美を見つめた。英美は涙目になり、口をぎゅっと結んだ。
「……そりゃオレだって、怖くないって言ったら嘘っすよ。昨日の七海さんのことを思えば、正直、震えが止まらないくらい怖いっす……だけど!!」
そう言って英美はあたしの手を握った。
「……それ以上に、オレの大切な七海さんがあんな怪物に奪われるのは絶対に嫌だって思ったんす!
……オレも七海さんと一緒に戦いたい!! 七海さんのために、憑霊に勝ちたいんすよ!!」
「…っ……!!」
英美の言葉にビクッと体が震えた。
昨日のことで、もうあたしは英美達に見捨てられしまうんだって覚悟していた。
それなのに英美は、まだあたしのことをこんなに思ってくれていたなんて……
「英美だけじゃないわ。私だって同じ気持ちよ」
「ゆ、由梨っ!!」