憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「なんでも、夢の中に憑霊っていう化け物が現れてそいつとゲームで勝負するんだ。
ゲームに負けると憑霊に現実世界の体を奪われて二度と悪夢から目を覚ませなくなるって話」
「へぇ、自分の体を奪われちゃうとかけっこう怖いね。……それで何のゲームで勝負するの?」
私が聞くと、恭也はカップを持って一口コーヒーを飲んだ。
カップを持つ右手の薬指には、付き合って一年の記念に二人で買ったペアリングがある。
ちょっと高かったけれど、指輪の裏には『NANAMI×KYOUYA』ってお互いの名前が彫ってある特注品だ。
あたしも左手の薬指に同じ指輪をいつも身につけている。指輪のことをいじられると恥ずかしいけれど、二人にとっては大切な絆の証だ。
「簡単に言うと憑霊と鬼ごっこで勝負するんだ」
もったいぶったあと、恭也は答えた。
「えっ、鬼ごっこ!?」
あたしは思わず聞き返した。