憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
そういえば、まだ二人には聞き込みしてなかったっけ。
美花はいかにも「?」って顔をした。多分、聞き覚えがなかったのだろう。対する祐希は、
「あっ、私、知ってるかも! たしか夢の中でお化けと鬼ごっこして、捕まると体を乗っ取られちゃう…っていう怖い話でしょ?」
「そう、それ!」
そういえば祐希、前に“おまじない”とかけっこう好きだって言ってた気がする。意外とオカルトには詳しいのかも。
「はっ、なんだよその話? くだらねぇ」
美花はちょっとバカにしたように言った。まぁ、そういう反応になるのも分かる。
「あたし達、わけあって憑霊ゲームのことを調べてるんだ。……できれば噂に出回ってなさそうな話とか、知ってたら教えてほしいんだけど」
あたしが聞くと祐希は「えっ、うーん。そうだなぁ…」と首をかしげた。
何か喉まで出かかっていて、一生懸命思い出そうとしている様子だ。それから少しして「あっ、そうだ!」と祐希は口を開いた。
「何か思いだしたんすか!?」
期待を膨らませてあたし達は祐希に注目する。
「うん。私、憑霊ゲームのことは、一年生のときに委員会の先輩から教えてもらったんだ。
それでね。たしかそのときの先輩が『実際に憑霊ゲームの夢を見た』って、言ってた気がする!」
「えっ!!!!」
思いもしなかった言葉に、あたし達は驚いて顔を見合わせた。