憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
カイトさんの言葉に、里奈と恵理香は目を見開き、ブルブルと震えた。
すると里奈の首にさっきの傷が広がっていくのが見えた。
……まるで猫の恨みが里奈を呪い殺そうとしているように、あたしには思えた。
「……こういう場合、どんな理由があれ、霊能力者は生きている者の味方をしなきゃいけねぇ決まりなんだ。……だけど本当に、常にそれが正しいって言い切れるか?」
針を風船にかざしたような緊張が辺りを包む。
里奈に詰め寄り、カイトさんは「なぁ……俺はどうしたらいい?」と一言尋ねた。
「…………」
里奈は口を閉ざし、真っ青な顔をした。恵理香もどうしていいか分からない様子でじっと里奈を見つめる。
長い沈黙のあと、里奈は「ご、ごめんなさい……」とようやく口を開き、
「……な、なんでもしますから……だからどうか、命だけは助けてください……」
泣きながら頭を落として謝った。
「もう二度と、弱い者の命を奪わないって誓えるか?」
カイトさんは厳しい口調で里奈に声をかけた。
「はい。……誓います。……もう二度としません…」
その言葉に、カイトさんはにっと笑い「嘘は、ついてないな」と小声で言った。
「分かった。恵理香ちゃん、里奈ちゃんから離れて」
カイトさんが言うと、恵理香な急いで里奈から離れた。
するとカイトさんは親指で里奈のおでこに触れる。
「……いるんだろ? 出てこいよ」