憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「うわっ…!!!!」
何が起こったのか? 一瞬、理解できなかった。
いきなりカイトさんがあたしの頭を手で突き刺したかと思うと、その手が皮膚を貫通し、頭の中へと吸い込まれていったのだ。
「落ち着いて七海ちゃん。物理的なダメージはないから」
カイトさんの手はそのまま突き進み、肘の辺りまで頭の中に入ってしまった。
普通なら激痛が走るはずなのに、不思議と痛みは感じず血も出なかった。
しかし………
ガタ、ガタガタガタ…!!
「うあっ、な、なに…?」
突然、体が小刻みに震え出した。しかもその振動はどんどん激しくなっていく。
「あ、ああっ、止ま……」
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ…!!!!
自分の意思で止めようにも体が言うことを聞かない。まるで誰かに操られているみたいだ。
「七海!? どうしたの!?」
異変に気づいた英美と由梨があたしに駆け寄ろうとする。そんな二人をカイトさんがチラッと睨んで制止した。
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ!!
体の震えは一向に止まる気配がない。
……きっと今、憑霊がカイトさんの侵入を拒んで、あたしの中で暴れているんだ。
直感的にそう思った。そのとき、
「ウグッ!!!!!!」
突然、ビクッ!!!!!!!!と大きく体が痙攣して震えがピタリと止まった。
「はぁ、はぁ…」
ようやくおさまった…。
そう思い、激しく息を切らせる。
カイトさんを見ると、あたしの頭に手を突っ込んだまま、真剣な顔で微動だにしなかった。
……今、カイトさんにはあたしの中の、何が見えてるんだろう?
そう思い、あたしは再度、カイトさんの手をぎゅっと握った。
その直後、
「うぷっ…!!!!」