憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~

「んっ……だ、大丈夫…」


意識が戻り、あたしは二人に言った。体もさっきのが嘘みたいに自由に動いた。


「あっ…」


ふとカイトさんと繋いでいた手を見ると、手に巻かれていたお札が焼けたように黒く焦げていた。そしてギリギリで繋がっていた箇所が、ブチッ…と、切れてしまった。


「あの、カイトさん……
今ので何か分かったんですか?」


あたしを支えていた由梨が言った。


「…………」


しかし、カイトさんは何も答えずに黙っていた。さっきまでと表情もかなり違う。真っ青な顔で何か思い詰めた様子だ。


「カイトさん?」


今度はあたしが声をかけた。すると、


「……ああ、わりぃ。ちょっと考え事してた…」


カイトさんは私達の方を向き、そう言った。


「どうだったんですか? あたしの中にいる憑霊の魂は?」


あたしが言うと、カイトさんは眉をひそめ、


「そうだな。……まず伝わってきたのは、憑霊が七海ちゃんに対して強い恨みを抱いてるってことだ…」


と静かに話し出した。
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