憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「思ったんですけど……恭子さんって、憑霊ゲームには勝ったんすかね? もし負けてたら、話を聞くのってヤバくないすか?」
「あっ、たしかに…」
考えもしなかった。だけど、その可能性は十分あるかも。
……とか思っていたら、
「バカね。だったらそもそも祐希ちゃんに憑霊ゲームのことは話さないでしょ?」
由梨があきれた感じで言う。
「あっ、そういえばそうっすね」
「さ、早くお邪魔しましょ。もう夜も遅いし」
「う、うん」
あたしがもう一度、インターホンを押そうすると「何してるんですか?」と誰かがあたし達に声をかけた。
見ると、
「恭子さん!」
そこにはワンレンショートの髪型に黒のトップスと細いジーンズをはいた大学帰りの恭子さんの姿があった。
「あれ、七海ちゃんじゃない? どうしたのこんな時間に」
そう言い、恭子さんは首をかしげた。
「えっと。
ちょっと恭子さんに聞きたいことがあって」
「ん? 私に?」
にこっとし、恭子さんが言う。
「憑霊ゲームのこと、恭子さん、知ってますよね…」
「…………」
あたしが言うと、恭子さんはすぐに表情を曇らせた。そして少し考えてから口を開き「……いいわ。場所を変えましょう」と一言だけ呟いた。