憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~

「あっ、七海さん来たんすね!」


犬の着ぐるみがあたしに聞き覚えのある声で言う。


「待ってたのよ。七海」


もう一方の猫も聞き覚えのある声で言った。


あたしは息を飲み、血の中に横たわる無数の残骸に目を向ける。吐き出しそうな気持ちを抑え、あたしは恐る恐る着ぐるみに問いかけた。


「まさか……英美と由梨なの?」


すると着ぐるみの二人はクスクスと笑いながら、


「そうであって……そうでないわ。私達は、七海の夢の中の住民なんだから…」


「七海さんの中にあるオレ達の姿が……オレ達を写し出したんすよ…」


と言い、頭を取る。


「……っ!!」


そこには紛れもなく、親友の……英美と由梨の顔があった。
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