憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
驚きのあまり言葉を失った。……まさか憑霊ゲームに、この二人が現れるなんて。
もちろん、本物でないことは確かだ。だけど声やしゃべり方まで、本物にそっくりだ。
「ま、七海さんが今どんだけヤバい状況なのかはオレらもよく分かってるっす」
英美と由梨は再び着ぐるみの頭を被る。そして由梨は被っていた猫の着ぐるみの口に手を入れると、
「七海は今、これを探してるんでしょ♪」
そこから、血にまみれた人間の切断された左足が出てきた。
「……それっ、憑霊の…?」
目を見開き、あたしが言う。
「ええ、もちろん本物よ。私が見つけておいたの~」
由梨は笑いながら言った。同時に、英美はチェンソーを胸の辺りで構える。
言い様のない不安にかられながら、あたしはゆっくりと由梨に近づき「………お願い由梨、あたしにそれを…」と声を絞る。
すると由梨は少しうつむき、
「いーやっ、七海なんて死んじゃえばいいのよ~♪」
楽しげな声で言った。すると英美の方から、ブォォォォォォォォンン!!!! とチェンソーを起動させる音がした。