憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
巣食う魔物
☆☆☆
中は電球のわずかな明かりで薄暗く照らされていた。
奥へ続く通路には奇妙な物であふれている。黄色い服を着た等身大の人形、獣を入れるような大きな檻、カラフルな玉や作り物のナイフ……
外観を見た時も思ったけれど、どうやらここはサーカスの会場らしい。
物があふれるここなら隠れるのも容易だ。
暗さに目が慣れ、通路の奥が見えてきた。そこには赤くて大きな扉と開演中の文字。たぶんその向こうに、サーカスのステージがあるのだろう。
……するとその扉から、
「きゃぁぁああああああ!!!!!!!!!!!!」
と女の人が泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
鳥肌が立つような……あまりにも恐ろしい悲鳴だ。まるで命を奪われる瞬間、人間が発する最後の断末魔にさえ思えた。
「誰かぁぁぁああ!! 助けてぇぇ!!!!
あぁぁああ!! 嫌だよぉぉぉぉ!!!!」
涙でにじんだその声は、徐々に弱々しくかすれていく。
いてもたってもいられず、あたしは物の隙間をかいくぐり、その扉に向かう。
大きな扉の取っ手に手を置き、一瞬、躊躇ったけれど、再度両手で掴み、扉をひいた。
「………あっ!!」