憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
その刃物は会場の青白い光を反射させ、あたしの目に映る。
見ると刃物に映った首を絞めるあたしの顔が……男の汚ならしい笑顔に変わっていたのだ。
「うわぁっ!!!!!!!!!!」
驚きのあまり、あたしは男から身をひいた。すると男は立ち上がり、あたしの目を見つめた。
「僕が魔物なら……君も同じさ。僕が彼女の敵なら……君だってそうさ。分かるだろ?」
にたぁ……と、微笑みながら、男は刃物をかざす。すると男は、その刃を右目の上の辺りで滑らせた。
「君の中に……僕はいるって…」
血を流しながら男は言う。その目は、あたしの恐れを……何もかも見透かしているようだった。
激しい悪寒が全身の神経を這う。呼吸もままならないほど体が痙攣し、あたしは男の目から逃れたい一心で会場から走り去った。