憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
あたしがさっき上ってきた階段から鈍い音が聞こえてきた。
この音、たしか憑霊が歩く足音だ!!
一気に校舎内の空気が張り詰め、背筋に冷たいものが走る。
とにかく逃げないと!! 捕まったら終わりだ!!
そう思うか思わないかで、体は走り出していた。……だけど後ろから、
「ソ・イ・ツ・ヲ・捕マエロ…!!!!!!!!」
憑霊の金切り声が聞こえてきた。
振り返ると、憑霊は階段を上り終えたところで、あたしを指差していた。
憑霊の言葉と同時に、さっきまで穏やかだった黒い目の生徒達が一斉にあたしに飛びかかってきた。
「な、なに!!?」
黒い目の生徒達に押され、あたしは教室の側の壁に押しつけられる。
腕を押さえつけられ、足にまでしがみつかれて身動きが取れない。
しかも生徒の何人かはあたしの首をつかんで力いっぱい絞めだした。