憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「うぐぅ……」
息ができず頭が朦朧とする。
その間にも憑霊は左足でケンケンしながら少しずつあたしに迫ってくる。
片足で歩く憑霊は速度的には普通に歩くよりも少し遅いくらいだ。
だけどこのまま身動きがとれずにいたら確実に捕まってしまう。
早く、こいつらから逃げないと…!!
人間の肉の壁に挟まれながら手で何か武器になるものはないか模索した。
すると右手が壁に設置されていた消火器をつかんだ。
「うわああ…!!!!!!」
叫び声をあげながら、とっさに消火器であたしの首を絞めていた生徒を殴った。
生徒の首から………グキッ!!!!!! と鈍い音が響く。
「……っ!!」
もろいソフビ人形のように、生徒の首は180°回転した。首の肉が千切れ、血があたしに向かってべっとりと飛び散る。生徒はそのまま、糸が切れた人形のように地面に倒れた。
あたしを押さえつけていた生徒達も、驚いてあたしから距離をとった。