憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
ちょっとした騒ぎになって困ったけれど、やっぱりあたし、高校生くらいの子にはまだまだ人気じゃん! とさっき冷たくされた分、逆転ホームランを打ったみたいに嬉しくなって握手や写真に応えた。
しばらく騒いでいると「おい何してるんだ? 早く行くぞお前ら!」と引率の先生らしき人があたしを囲っていた子達に言った。
その子達はあからさまに反抗的な態度で「え~、は~い、ちっ!」って感じで適当に返事をする。
改札を見ると、同じ制服を着た修学旅行生達が、わいわいとおしゃべりしながら次々と改札を通過して行った。
「ねぇ、これからテレビ局の見学なの?」
あたしが聞くと「そうそう! ウチらバラエティのセットとか見てまわんの~!」とギャルっぽい子が答えた。
これはチャンス! そう思ったあたしは「ねぇ、ちょっと頼みがあるんだけど」とその子達にひそひそと耳打ちした。