憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
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それからあたし達はなんとか改札を通過し、
「ありがと! 修学旅行楽しんでね!」
「うん、じゃあね、七海ちゃん!」
手を振って、さっきの子達と別れた。
「はぁ~、まさか修学旅行生のグループに混ぜてもらって改札を通るなんて、バレないか超ひやひやしましたよ」
「ほんと。制服も違うし七海は私服だし。ここまで来れたのは奇跡ね」
英美と由梨はホッとしたように言った。
「まぁ、うまくいったんだし結果オーライだよ! それより、今は早くお母さんを見つけないと」
早足で歩き出し、あたしが言った。二人も後ろからついてくる。
「そうね。でも、どうやって探す?」
由梨が聞くと「うーん。番宣する番組は分かってるし、専用の楽屋とか、控え室とかがどこかにあるのかも。それか、もう番組のリハーサルとかが始まってて、撮影するスタジオに移動してたり…」と答えた。あたしが言い終わる前に、
「要は……適当に探そうってことっすね!」
と英美が言った。
「つまり、そういうこと!」
そう言って、あたし達は何気なく、ちょうど到着したエレベーターに乗った。