憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
静華
☆☆☆
それからあたし達はお母さんのメモに書かれた場所に向かった。
来たときと逆に電車を乗り継ぎ、あたし達が住む凪瀬町(ナギセチョウ)に戻ると、そこからバスで移動し、普段あまり行くことのない町の外れにやってきた。
「…………」
ここにくるまで、あたし達の間にほとんど会話がなかった。
お母さんと和解できた嬉しさもあったけれど、あたしはずっとお母さんから聞いた静華のことを考えていた。由梨と英美も、色々と気持ちを整理している様子だった。
そうしているうちに、あたし達は目的の場所にたどり着いた。
そこは雑木林の中にポツリと立つ、古びたお寺だった。
お寺の中を少し進むと、
「うわっ、何んすかこれ!?」
思わず、あたし達は目の前の光景に釘付けになった。
夕日の赤い光の中、そこには100を超えるお地蔵様が並んでいた。それぞれ目の前には花と赤い風車が供えられている。