憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
我ながらちょっと痛いこと言ったかも。そう思い二人を見ると、二人はニコッと微笑んだ。
あたしは思わず「変かな? あたしが女優なんて」と聞くと、二人は首を横に振った。
「いいじゃない。新しい夢、今の七海にぴったりよ」
由梨が答えた。
英美も「そうっすよ! どんな夢でも、オレは七海さんを応援します!」と親指を立てた。
「ありがとう。二人とも」
あたしは呟くように言った。
すると二人はあたしの元に駆け寄り、ぎゅっと抱きついてきた。
「だから絶対、勝って帰ってきてくださいね。七海さん」
「そうよ。そんな素敵な夢を語っておいて、帰ってこなかったら許さないからね」
英美と由梨は力強くあたしを励ました。
息を吐き、あたしはそっと目を閉じる。今までの憑霊との戦いや、由梨と英美、恭子さん、恭也、そしてお母さんとの記憶が走馬灯のように過る。
そして目を開き「分かった。もう絶対に、あたしは諦めない。必ず勝って、あたしの未来を守りぬく。それに恭也も、救ってみせるから」と声にいっぱいの思いを込めて言った。
由梨と英美はあたしの目を見つめた。表情は微かに笑っている。
「…………」
そんな二人に、あたしは眉をひそめ、こう続けた。