憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
やがてピタリと笑いがおさまると、静華はいつものように、
「ハージメヨ。ハージメヨ。悪夢ノ中ノ鬼ごっこ。今夜ハアナタノ夢ノ中。私ガ鬼デ、アナタガ子。10ヲ数エテ捕マル前二……」
と歌い、最後に残ったパーツである頭を指差した。
「今夜ハ私ノ、“アタマ”が欲シイ……」
淡々と機械のように発した静華の声には、今まで以上に強いあたしへの殺意が宿っていた。
あたしの脳裏に、水子地蔵の前で由梨が言った“静華の死因”が過る。
その直後、静華は「ジューウ、キュー…」と動きを止め、数え始めた。
あたしはチラリと静華を見て「でも、負けられないんだよ…」と呟き、すぐにその場から走り去った。
静華と七海。
こうして最後の、あたし達双子の戦いが始まった。