憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
罪
煙が散ると、中からあたしそっくりの誰かが姿を現した。憑霊に全てのパーツが戻ったのだ。
「……あんた、本当に静華なの?」
あたしは憑霊にそう呼びかけた。すると憑霊はゲーム中の片言の言葉ではなく、はっきりとした人間の声でクスクスと笑い出した。笑いが収まると、憑霊はあたしを見下ろし、
「まだ分からないの? 私は七海。静華は……あんただよ?」
と冷酷な声で言った。
「えっ……?」
言葉の意味が分からなかった。ただ体が、極寒の中にいるようにブルブルと震え出した。
とっさに頭を抱えると、あたしの後ろ髪が前に流れてきた。
「ひぃぃっ……!!!!」
その髪の色は茶髪から、お母さんにそっくりな黒髪に変わっていた。
「そう。それがあんたの本当の姿…」
憑霊はあたしを見下ろしながら言った。すると無影灯のライトが消え、目の前が真っ暗に変わった。