憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
もしかして、理科室にいるのがバレてるのかな…!?
恐怖で悲鳴を上げそうになる口をおさえ、あたしは全神経を耳に集中させ音だけで理科室の様子をうかがう。
音からして憑霊は理科室の中を徘徊しているみたいだ。
まっすぐベランダに来ないってことは、まだあたしの隠れている場所には気がついていないはず。
お願い!! このまま外へ行って!!
あたしは息を止めながら必死に祈った。
だけど足音はどんどんこっちに近づいてくる。
このまま憑霊が窓の辺りまで来たら見つかってしまうかもしれない。
その前にどこかに逃げなきゃ! ……でもどこへ!?
理科室のベランダは他の教室から独立していて別の教室に逃げることは不可能だ。
かといってここは三階。下へ飛び降りるのは危険すぎる。
だったらいっそ理科室へ戻って憑霊を振り切って外の廊下へ逃げるとか?
でも音だけじゃ憑霊の正確な位置は分からないし、最悪鉢合わせになるかも。
そんなことを考えていると、憑霊の足音はさらにベランダの方へ近づいてきた。
このままじゃ見つかる! もう時間がないよ!
「そうだ! だったら…!」
ギリギリまで追い詰められたあたしにひとつの考えが浮かんだ。