憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
理科室のベランダと隣の音楽室のベランダは柵を隔てて2mくらいしか離れていなかった。
もしかしたら全力でジャンプすれば、ここから音楽室のベランダに飛び移れるかも!
そう思い、あたしは静かにベランダの端まで行って柵の上に立った。
「けっこう高いな…」
見下ろすと下は真っ暗で地面がよく見えないくらいだ。
失敗して落ちたら、もちろんただじゃ済まない。
それに助走もつけられないし無事に飛び移れるかどうか。
そう思うと足がすくんでなかなか踏ん切りがつかなかった。
ドン。 ドン…!
理科室の中から憑霊の足音が聞こえてくる。
いつあたしがここにいることに気がついてもおかしくない。
やるなら今だ!
「3、2、1っ…!!」
カウントダウンのあと、体力測定の立ち幅跳びの要領でおもいっきり柵からジャンプした。