憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「な、なに…!?」
驚いて後ろを振り返る。
そこには土埃にまみれ手足の関節が180°曲がり、蜘蛛のように這いつくばる憑霊の姿があった。
憑霊はあたしを追って三階のベランダから飛び降りてきたのだ。
「イ゛カ゛セ゛ナ゛イ゛ィ…!!!!!!!!!!」
憑霊はおぞましい叫び声を上げながら、折れた手足を無理矢理動かしあたしの方に這ってくる。
ただでさえ片方ずつしか手足がないというのに……憑霊の体からは落下の衝撃でいくつか骨が飛び出していた。
それでも憑霊はあたしを捕まえようとする。
そんな憑霊の執念にあたしは言葉にならない恐怖を感じた。