憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「嫌だ、来ないで…!! 来ないで…!!」
あたしは憑霊から逃れるために必死で地面を這った。
手のひらを尖った石で切り、制服が泥まみれになっても構わず前に進む。
早く!! 憑霊に捕まる前に心臓を…!!
振り返ると、憑霊はあたしのすぐ近くまで来ていた。
なのに人体模型まではまだあと3mくらいある。
だんだん手足の力もなくなって這うスピードが落ちてきた。
その間に憑霊は折れた左足をつかもうとする。
「うあああ!!!!」
あたしは声を上げ最後の力を振り絞り、人体模型に思いっきり手をのばした。
そして何とか人体模型の体から心臓を取り出す。
しかし直後に、憑霊が猛スピードで飛びかかってきた。