憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~

憑霊があたしを捕まえようとした時、


「心臓返す、あたしの勝ち!!」


あたしは憑霊に心臓を向けながら勝ちを宣言した。


その言葉に憑霊はピタリと動きを止めた。


あたし、勝ったのかな…!?


不安を抱えたまま、じっと憑霊を見つめる。


するとあたしのつかんでいた心臓がドロドロと溶け出し消えてしまった。


直後にドクッ!!と憑霊の胸の辺りから大きな音がした。憑霊はゲームが始まったときのように制服をたくし上げる。


「あっ…!!」


そこにはさっきまで手にしていた心臓があった。


さらに内臓がむき出しになるほど裂けていた肌が魔法のようにくっついていく。


あたしの返した心臓が憑霊の体に戻ったんだ。


ここにきて初めて一日目のゲームに勝ったという実感がわいた。


……そのときだった。


「…………アンタナンテ。

生マレテコナキャヨカッタノニ……」


突然、憑霊はあたしに向かって殺気を帯びるような声で呟いた。
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