憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「えっ…?」
生まれてこなきゃって? ……どういうこと?
言葉の真意までは分からなかった。
だけどその言葉に、憑霊があたしに向けた深い怨念のようなものを感じ取った。全身に血管が凍りつくような寒気が走る。
そんなあたしの顔に憑霊はゆっくりと手をのばした。
「ひいっ…!!」
冷たい憑霊の手がベタベタと顔に触れる。
あまりの恐怖に体が金縛りのように硬直した。叫びたくても声帯が縮こまって声すらまともに出ない。
……すると突然、目の前が真っ暗に変わっていく。
まるで眠りに落ちるときのようにあたしの意識は闇の中に沈んでいくのだった。