憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「うわあああ!!!!」
思わず悲鳴を上げ、あたしはそれを床に落とした。
あたしが引き上げたのは、切断された人間の指だったのだ。
ゾッと震えたのと同時に、あたしの頭にポケットに入っていたナイフのことが過った。
あのナイフにも血がべっとりとついていた。
もしかして憑霊に体を乗っ取られているとき、あのナイフであたしが誰かの指を切り落としたの…?
そう考えて、あたしはうっ!と吐き気がし胃の中のものを全て吐き出した。
それから恐る恐る床に落とした指に視線を移す。
さっきは怖くてよく見れなかったけれど、その指は銀色の指輪をつけていた。
「……っ!!」
……しかもあたしはその指輪を、どこかで見た気がした。
「嘘だ。……そんなはずない」
祈るような気持ちで床から指を拾い上げた。
指先が麻痺したように小刻みに震える。
あたしは必死で震えを抑え指から指輪を外した。
そして指輪の裏を確認する。
「あっ………………」
それを見て言葉を失った。