憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
ヤバい、逃げないと!!!!
頭ではそう思っても、恐怖で足がすくんで一歩も前に動けない。
その間にも女子生徒は残った右足でケンケンするように歩いてあたしに近づいてくる。
さっきのドン…!という鈍い音は一本足に全体重を乗せて歩くそいつの足音だった。
「ハージメヨ。ハージメヨ……」
頭も口もないはずなのに、そいつは体のどこからか声を発している。
あたしは恐怖に震えながら「お願い、早く目を覚まして!!」と心の中で必死に叫んだ。
だけど願いとは裏腹に、悪夢は続いた。現実に逃げることもできない。目の前まで、そいつは迫ってくる。
……誰か、助けて…!!
そう思った直後、
「憑霊ゲーム。ハージメヨ……」
そいつはかすれた声で言った。