憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「じゃあこうしましょうよ。今日、私の家でお泊まり会をするの。それで私達が寝ている七海を監視する。
そうすれば七海が本当に憑霊に乗り移られてるのかが分かるでしょ?」
たしかにそれなら二人にも分かってもらえる。
それに憑霊が昨日みたいにあたしの体で好き勝手するのを二人に止めてもらえるかも。
「いいっすねそれ! みんなとお泊まり会なんて超楽しみっす!」
英美は目をキラキラさせて言った。
「七海はどう? ちょうどうち両親が旅行に行ってて誰もいないの。それに七海もひとりで過ごすよりいいと思わない?」
「うん、そうだね」
由梨なりにあたしのことを気遣ってくれているようだ。
「じゃあ決まりね。今日は茶道部の部活があるから6時頃にうちに来て」
「うん分かった。……だけど、ひとつ心配なことがあって」
「ん? なに?」
「もしかしたらあたし、憑霊に乗っ取られてるときに暴れたりするかもしれないんだ。昨日も多分、色々してて……
だからなにか暴れないように対策がいると思うんだけど」
昨日、憑霊はあたしの体を使って恭也を傷つけた。
二人にも憑霊が何かする危険は十分にある。
「うーん。……でも要は七海が寝ている間、自由に動けなければいいのよね?」
由梨はそう言ってにやりと笑った。
「うん。まぁそうだけど」
「じゃあ安心して。私にいい考えがあるから」