憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「やっぱり最新号の『Loveteen』っすね! オレお小遣いピンチでまだ買えてないんすよ! 見てもいいっすか!?」
テンション高く言う英美に由梨は「いいけど」と答えた。
英美は嬉しそうに雑誌をめくる。由梨はあたしの方をチラリと見た。
「あっ、七海さんの特集載ってますよ! 最新コーデの!!」
英美が指差したところには笑顔で写真に映るあたしの姿があった。
写真を見て、撮影をしたときのことが鮮明に浮かんでくる。
フラッシュの光。シャッター音。笑顔であたしを見つめるカメラマン。腕を組んだプロデューサー。見学に来た後輩のみんな。
すぐそこにあった、あたしが一番、輝けた場所。
……だけど今は、それが全部、遠い過去のものになってしまった。
この日の『Loveteen』の撮影がモデルとしての最後の撮影になるとは、このときはまだ思ってもいなかった。
「やっぱり、七海さんはオレの憧れのモデルっす!! こんなにかっこいい着こなしができる人、他にいないっすよ!!」
英美が何気なく言った言葉に、あたしは思わず表情を固くした。