憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~

☆☆☆

「本当にこのまま一晩過ごすの?」


あたしは由梨に聞いた。


「だって、七海が言ったんじゃない? 動けないようにしてほしいって」


「そうだけどさ…」


時刻は夜の12時。


あたしはリビングの真ん中で椅子に縛りつけられていた。


両足は椅子の足に、両手も後ろで組んで麻縄で縛ってある。


「このまま朝まで七海が眠らないようにするの。そうすれば多分、今晩は憑霊ゲームの夢を見ずに済むわ」


「あっ、たしかに!」


憑霊ゲームは夢の中のゲームなんだから、このまま眠らないようにすればゲームを回避できるかもしれない。


意外に盲点だったかも。


「でも、寝ている七海さんを監視するんじゃなかったんすか? 本当に憑霊に乗っ取られてるのか確かめるために」


英美が言った。


「それも大事だけれど。できれば七海も憑霊ゲームの夢は見たくないでしょ?」


「もちろん。寝ないで回避できるならその方がいいよ!」


「じゃあ徹夜決定ね~。それに七海を縛っておけば、もし寝落ちして憑霊に乗っ取られても身動きは取れないわ」


これが由梨の言ってたいい考えか。


おおむね賛成だけど。


ただ友達の前で縛られてるのって、シュールだしけっこうはずい…。


「それで、このスマホはなんすか?」
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