憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
あたしの目の前には三脚に設置されたスマホがあった。
「万が一七海が寝落ちしたら、憑霊に乗っ取られた姿を撮影しようと思って」
そう言って由梨はスマホの角度を調整した。
「たしかにこれならあとで七海さんも寝ている自分を確認できますね!」
英美があたしの近くに座って言った。
「さて、準備もできたし。朝まで何して過ごそうかしら?」
「じゃあ七海さんに質問大会とかどうすか?」
「あっ、いいわねそれ!」
「何で質問されるのがあたし限定なのよ? それだとあたしの暴露大会みたいになるじゃん」
「だってしょうがないっすよ。七海さん、しゃべってないと寝ちゃうじゃないすか?」
「むっ、たしかにそうだけど」
あたしはしぶしぶ首を縦にふった。
「なら、私から質問いいかしら?」
由梨が手を上げた。
「いいっすよ由梨さん!」
「昨日の憑霊ゲームのこと、もっと詳しく聞きたいわ」
「昨日の?」
「ええ。いつも強気な七海が怖がるくらいだもの。どんな怖い夢だったのか気になって」
「あっ、それならオレも知りたいっす!」
二人は修学旅行とかで怖い話を聞くノリであたしに聞いた。
……二人はまだ憑霊ゲームのこと半信半疑みたいだし。
もう少し真剣になってほしい気もするけど。
あたしは昨日のゲームについて朝よりも詳しく話した。