憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
全力で鳥居の中を走り抜ける。
だけど、走っても走ってもなかなか出口が見えなかった。
やがて道は緩やかな石の階段に続き、あたしはそこを駆け上がっていく。
「もう、いつまで続くのよ!」
あたしは息を切らせて階段の途中で立ち止まった。
まだ鳥居は続く。……さっきのこともあってカッカと頭に血が昇る。けど、ここはもう少し冷静にならなくちゃ。
「そうだ。昨日のゲームからして、憑霊はほとんど走ることができないんだ。これだけ逃げれば、そう簡単に追い付かれないよね…」
あたしは近くの鳥居に寄りかかり息を整えた。そして冷静に、頭を冷やす。
……そもそもここはどこの神社なんだろう? 見覚えはないし。
それに今回は昨日の学校と違ってエリアの場所が分からない。だから手当たり次第に探すしかないのかも。
そんなことを考えていると、あたしの来た道からペタ…ペタ…ペタ……と、奇妙な音が聞こえてきた。
下の道に視線を移すと、
「うあぁぁあ!!!!」
そこには階段を四つん這いで……いや、左手と右足だけで這って駆け上がる憑霊の姿があった。