憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~

ペタペタ……ペタペタペタペタ。


あたしの願いが通じたのか、憑霊の足音は遠ざかり部屋の外へ行ったのが分かった。


……良かった。あたしがいることに気がつかなかったみたい。


慎重に辺りを見渡し、あたしは死体の中から外へ出た。


「うわ、血がついちゃった…」


制服には死体の血がベットリとついていた。ブラウス越しにも生暖かい血の感触がする。


「……それにしても、なんで女の人ばっかりこの部屋で死んでるんだろう?」


不気味に思いながら部屋の隅を見ると、一人だけ武士のような格好をした男がいた。


その男は両手で刀を持ち、自分の腹を刺して立ったまま死んでいる。


あたしはその男に近づいた。


「この刀、本物だよね…?」
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