憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
反撃
☆☆☆
それから15分くらい刀を手に屋敷の中を探索した。
かなり歩いたけれど、真っ暗な廊下はまだ見えなくなるまで奥に続いている。
「はぁ、どんだけ広いのよこの家…」
思わずため息が出た。幸い憑霊には会わなかったけれど、かなり疲労が体にたまってきた。
「ん? なんだろう? 良い匂いがする」
廊下を歩くあたしに、ふと梅の花の香りがした。不思議に思い、あたしはその匂いのする方へ歩く。
「あっ!!」
そこは屋敷の中庭だった。
藍色の夜の中、月明かりがぼんやりと照らす庭に、白とピンクの花を咲かせた梅の木がたくさん植えられている。
思わず息を止めてしまうくらい幻想的な雰囲気だ。
「あれ? あそこに誰かいる…」
中庭の縁側に、一人だけポツリと座る男の人がいた。
その人は神主の格好をしていて、なぜか顔には真っ白なお面をつけている。