憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
この神社に来て、初めて死体じゃなくて生きている人に会った。
表情はお面で見えないけれど、その佇まいから、なんだかすごく悲しい気持ちが伝わってくる。
「あの……すいません」
思わずあたしは神主に近づいて話しかけた。
しかし、神主はピクリとも動こうとしない。
頭を落としたまま、まるでその人の周りだけ時間が止まっているみたいだ。
「あの…」
あたしはもう一度、神主の顔を覗き込みながら話しかけた。
すると神主の手に、何かが抱えられているのが見えた。
「ひっ…!!」
神主の手にあったもの。……それは白目を向き、口から泡を吹いて死んでいる小さな男の子だった。
驚いたあたしはすぐに神主から離れた。そして思わず刀を両手でぎゅっと握る。
……そのときだった。
ガタガタガタガタ……!!