憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「そ、そんな…」
……刃物がまったく効かないなんて。
少しだけ希望を見いだしていた反撃があっけなく失敗に終わった。
たぶん、こいつをあたしが力で倒すのは不可能だ…。
そう思い、あたしは恐怖で庭に後退りした。
「ネェ、マダ逃ゲルノ?」
憑霊もあたしを追い庭に出る。
一匹のネズミが部屋の隅で大柄な猫と向かい合うみたいに、あたしは泣きそうな顔で憑霊をにらむ。
そのとき、
ガシッ。
憑霊の右足を地面でもがいていた神主が苦し紛れにつかんだ。
その瞬間、憑霊が動きを止める。……逃げるなら今しかない!!
あたしは全力で走り出した。
すると背後から…
グシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャグシャ…!!!!!!
……と、肉塊をミキサーにかけるような強烈な音が聞こえてくる。