憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~

「うあぁぁ!!!!」


あたしは耳をふさぎながら前に進み、中庭から向かいにある廊下に向かう。


すると、


ビチャァ……!!!!


後ろから憑霊が何かをあたしの足元に投げてきた。見ると…


「ひぁぁあっ…!!」


……それはさっきまで神主の手の中にいた、子供の引き裂かれた上半身だった。


全身の血が凍りつくような恐怖を感じ、思わずあたしは後ろを振り返る。


「フフッ、ハハッ………!!!!!!」


そこにいたのは、バラバラになった神主の肉塊と、その上で笑う憑霊。


まるで遊びでぬいぐるみの綿を引き抜く子供のように、憑霊は笑いながら神主の内臓を引きずり出し、辺りに投げ捨てていた。


こいつ、人間を殺すのを……死体を引き裂くのを楽しんでいる…。


死体をもてあそぶ憑霊の姿からそんなことを感じた。


もし捕まれば、あたしもあの神主のように体を引き裂かれのだろうか…?


「嫌だ、そんなの……」


想像するだけで心が折れてしまいそうになった。


「くっ…!!」


弱い気持ちを必死に押し殺して、長い廊下を真っ直ぐと走り出す。


「待゛テ゛ェ゛ア゛ェ゛……!!!!」


憑霊も奇声を発しながらあたしを追いかける。その声に、ビリビリと肌を焼くような強い殺意を感じた。
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