憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
「……っ……!!」
あたしはギリギリで憑霊が開けた戸の反対側に逃げた。
口を押さえ、息を止める。
さっきまであたしのいた場所には、部屋の光が射し憑霊の手が中をベタベタと探った。
「………………」
……あたしがいないと思ったのか、憑霊はそのまま押し入れを離れた。
ペタペタ…。
足音は押し入れから遠ざかり、隙間から覗くと、憑霊が窓から外へ出たのが見えた。
「はぁ……!! 死ぬかと思った…!!」
プハッと息を吐き、汗が噴き出した。全身の力が抜け、あたしはその場に寝そべった。
……緊張の連続で、体力もそろそろ限界…。迂闊に動かないで、ここでしばらく休んだ方がいいかも。
そう思い、あたしはしばらく押し入れの中に隠れることにした。