憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
カチカチと点滅していた電気がようやく元にもどる。
「な、七海!! どうしたの!!」
あたしのもとにお母さんがお風呂のドアを開け駆けつけてきた。
「お、母さん……」
あたしはガクガクと震えながらお母さんの方を向く。
「七海、その傷は……?」
「えっ……?」
痛みのした箇所に触れると、べっとりと真っ赤な血が手についた。
恐る恐る足元にあった鏡の破片で顔を確認する。
「あっ…………」
あたしの右目の上には、割れた鏡で切った切り傷ができていたのだ。
傷はかなり深かった。絶えず血が流れ、シャワーの水と混ざり合い排水溝に流れていく。とっさにあたしは傷口を手で押さえた。
「…………」
お母さんは真っ青な顔で何か言いたそうに口をパクパクとさせ、しゃがみこむあたしを見下ろす。
「お願い、お母さん……」
あたしは泣きながらお母さんを見つめる。
そして、絞り出すような声で言った。
「あたしを、見捨てないで……」
そのままあたしは気を失ってしまった。