だから僕は、笑顔でサヨナラを叫ぼう



「おーい!」


まぶたを開くと、昇降口から出てきた少女に声を掛けられた。

僕の数少ない友人、きずなだ。

勝ち気な微笑みを浮かべながら、大きく手を振ってくる。


「なーにたそがれてんの。こんな天気のいい日なんだから、若者らしく青春を謳歌しなさいよ!」


倉利(くらり)きずな。
中学校で知り合ってから、今の高校二年生に至るまで、ずっと一緒のクラスだった女の子だ。


周りから気持ち悪い、と敬遠されていた僕に、唯一普通に話しかけてくれた、優しい女の子。


< 4 / 34 >

この作品をシェア

pagetop