死神の恋
10.デートのお誘い?
五日間の定期考査が終わった十一月最終週の金曜日。テストが終わった解放感でざわついている教室を後にすると、真美と合流した。
「未来、テストどうだった?」
話題になるのは、やはり定期考査のこと。
「手応えあり、かな」
「私も! 勉強見てもらってよかったよね」
「そうだね」
体育館に向かいながら、真美と微笑み合った。
胸を張って『手応えあり』と真美に言えたのは、勉強に対して自信を持てるようになったから。今は定期考査で全力を出し切ったという達成感でいっぱいだ。
テストの結果が返ってきたら、彼に報告に行こう。
そう考えてハッと気づいた。どうしたら彼に会えるのだろうかと……。
今日は定期考査最終日。来週の月曜日から終業式の十二月二十四日まで、午前授業期間となる。
授業時間が減るのはうれしい。でも昼休みがないと彼に会えない。
こんなことになるなら、ナンバーかアドレスを聞いておけばよかった……。
そう考えて再びハッと気づいた。どうして私、彼に会えないことを悩んでいるのだろうかと……。
「未来? どうしたの?」
部室に向かう足を思わず止めた私に気づいた真美に声をかけられる。
「う、ううん。なんでもない」
自分でもよくわからない感情を真美に打ち明けても返事に困るだろうと思い、首を左右に振った。
勉強を教えてもらったことは感謝している。でも定期考査の結果を知らせる約束はしていないし、三学期になれば三年生は自由登校となって、すぐに卒業式を迎える。
もうこのまま、彼と会うことはないのかもしれない……。
なんとなく寂しい気持ちになるのはどうしてだろうと考えつつ、今日から再開されるダンスの練習に参加するために体育館に急いだ。