死神の恋
午前授業とホームルームが終わり、クラスメイトが次々と帰って行く。そんな中【少し遅れそうだから先に行ってて】と真美にメッセージを送ると、学級日誌を開いた。
日直当番である自分の名前に欠席者、時間割と連絡事項など学級日誌に記入することは意外と多い。
こんなに時間がかかるなら業間休みを利用して、こまめに書いておけばよかった……。
自分の要領の悪さに落ち込みながら学級日誌を書き続けた。
「失礼しました」
担任に学級日誌を渡して職員室から出ると、一目散に体育館へ向かった。
逸る気持ちを抑えつつ階段を下りる。すると体育館へ続く渡り廊下で男子バスケットボール部の北山くんと鉢合わせた。
今日の体育館使用の割り当ては、ダンス部と男子バスケットボール部だったことを思い出す。
「あ、えっと……葉山、だっけ?」
「う、うん。そう」
一度も同じクラスになったことがない北山くんと、会話を交わすのは今日で二回目。北山くんは前回と同じように、微妙な間を開けて私の苗字を確認した。
切れ長の目と通った鼻筋。間近に見る北山くんはやはりカッコいい。
心臓がドキドキと音を立て始める中、北山くんと肩を並べて渡り廊下を進んだ。
「今日は新倉と一緒じゃないんだ。珍しいね」
「学級日誌を書いていたら遅くなっちゃったんだ」
私と真美はいつも一緒に体育館に来る。それを北山くんが知っていることに驚きながら、質問に答えた。