死神の恋
11.命を喰らう魔物
日付指定のパークチケットを返すと決めたものの、私は彼のナンバーもアドレスも、そしてクラスも知らない。
上級生である三年生の教室を覗き回る勇気はなかったため、ホームルームが終わるとすぐに校門に向かい、練習が始まるまでの短い時間、彼を待ち伏せしてみた。でも結局、彼と会うことはできなかった。
金曜日の練習が終わった帰り道。「明日の練習だけど……私、休むね」と真美に伝えた。
練習を休んでラッキーランドに行くと決めたのは、パークチケットを無駄にしてはもったいないと思ったから。
彼に渡されたパークチケットは、指定された日にちにしか使えない。
それなのに真美は「彼とのデート、楽しんできてね」とニヤニヤとした不気味な笑みを浮かべる。
「デートじゃないからっ!」
「はい、はい。そういうことにしておいてあげる」
すぐさま反論したけれど、真美は私の否定の言葉を軽く受け流すだけだった。
デートだ、デートじゃない、と言い争ってもキリがない。
「お土産、買ってくるね」
「うん。期待してるからね」
ついさっきまで騒がしく言い合っていたことが嘘のように、真美と笑い合った。