死神の恋
お財布をバッグに戻しながら気になったのは、彼の私生活。高校三年生である彼が私にパークチケットをくれるほど余裕があるのは、どうしてだろうと思ったのだ。
「バイトしてるの?」と彼に尋ねれば「してる」という短い答えが返ってくる。
「へえ、どんなバイト?」
「ピッキング」
コンビニとかファミレスでバイトしていると言われたら、どんなことをするのか、すぐにピンとくる。けれど、ピッキングと言われても仕事内容がよくわからない。
「ピッキング?」と首を傾げると「倉庫で商品を箱に詰めたり運んだりする仕事」と彼が説明してくれた。
バイト未経験の私にとって、彼の話は興味深い。
「私もバイトしようかな」
新しい服にシューズにバッグ。私にはほしい物がたくさんある。
「ダンスは?」
「……ダンスもしたいけど、おこづかいもほしい」
「欲張り」
お互いの顔を見合わせると、クスクスと笑った。
ひとりなら永遠に感じられるアトラクションの待ち時間も、彼と一緒だとちっとも苦にならなかった。