死神の恋
サイレンを鳴らした救急車や消防車とすれ違う中、彼に手を引かれたまま足を進めるとラッキーランドの最寄り駅にたどり着いた。でもそこは、すでにラッキーランドから避難してきた人であふれ返っていた。
「未来、少し歩いても平気?」
「うん。大丈夫」
私を気遣ってくれる彼にうなずくと、線路沿いの道をふたりで進んだ。
シュシュでひとつに束ねた私の毛先を、北風が揺らして吹き抜けていく。でも彼と手を繋いで歩いているから、寒さはあまり感じなかった。
ラッキーランドの最寄り駅から、どれくらい歩いただろうか……。しばらくすると、前方に小さな公園が見えてきた。
「未来、少し休む?」
少し疲れを感じるのは、歩き続けたからじゃない。いろいろなことが次々に起きて、軽くパニックに陥っているからだ。
「うん」
彼の言葉に返事をすると、誰もいない公園のベンチに腰を下ろした。ラッキーランドの方向に視線を移せば、まだ黒煙が上がっているのが見える。
ラッキーランドで起きた出来事は事故なのか、それとも事件なのか、詳細を調べるために、バッグからスマホを取り出した。
すると手もとのスマホがブルブルと震え出す。画面に表示されたのは“ママ”の二文字。通話ボタンをタップすると、スマホを耳にあてた。