死神の恋
「もしもし」
『未来! 無事なのね!』
「えっ?」
『ラッキーランドで爆発っていうニュースを見たから……』
私の身を案じてくれた母親の声を聞いたら、心配をかけてしまった罪悪感で胸がチクリと痛んだ。
「ママ、私は大丈夫だよ」
母親のホッと安堵する息づかいが、スマホ越しに聞こえる。
『よかった……。未来、今どこにいるの?』
どこ?と聞かれても、この公園は初めて訪れた場所。詳しく説明できない。
「取りあえずラッキーランドは出たけど……」
曖昧な返事をすると、母親の声が一転した。
『今すぐ帰って来なさい』
もう、私は子供じゃないのに……。
急に命令口調になった母親に対して、苛立ちを覚えた。でも親子ゲンカをしているところを彼に見られるのは恥ずかしい。
「……うん。わかった」
我慢して返事をすると、通話を終わらせた。
「親から?」
「うん、そう。ニュースで見たんだって。心配しすぎだよね」
遠くから救急車や消防車のサイレンが聞こえてくる中、彼の質問にコクリとうなずく。
「愛されているな」
「えっ、そんなことないよ」
母親に対する苛立ちがまだ治まらない私は、彼の口から飛び出した『愛されているな』という言葉を全力で否定した。
母親は私の顔を見れば小言ばかり言う。さっきだって『今すぐ帰って来なさい』って、威圧的だったし……。