死神の恋

練習を終えて学校を後にすると、旭ケ丘駅に続く下り道を真美とともに進む。

今の時刻は午後六時過ぎ。日中はまぶしい光を放っていた太陽も今はビルの陰に隠れて見えなくなり、辺りには濃紺色の暗がりが広がってきた。

「お腹空いた~」

「私も」

真美の意見に同意しながら足を進めること約二十分。高校の最寄り駅である旭ケ丘駅に到着した。ICカードをかざして自動改札機を通ってホームに向かい、タイミングよく到着した電車に乗り込む。

車内は制服姿の学生やスーツ姿の会社員で、身動きするのが難しいくらい混雑していた。

数年後には自分もスーツに身を包み、満員電車に揺られて通勤する日を送っているかもしれないというのに、今はそのイメージがまったく湧かない。

人の顔を見れば「部活をかんばるのはいいけれど、将来のこともきちんと考えなさいよ」と口うるさい母親にうんざりしても、進路を決められずにいる私はなにも言い返すことができない。

先週配られた進路希望調査書には大学進学希望とオーソドックスな進路を書いたけれど、どこの大学に進学してなにを勉強したらいいのかわからない。


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