死神の恋
あっという間に一週間が経ち、迎えたクリスマスイブ当日。
「未来! デート、楽しんできてね!」
「ありがとう。真美もパーティー楽しんでね」
練習が終わり真美と別れると、ダッシュで校門を飛び出た。
幸希と待ち合わせたのは、ラッキーランドに行ったときと同じ旭ケ丘駅の上りホーム。
もう幸希は来ている?
息を切らせて構内の階段を駆け上がり辺りを見回せば、ある人物と視線が合った。
その人が着ているオリーブ色のモッズコートは見覚えがある。それからスラリとした背丈も幸希と同じくらい高い。それなのに声をかけるのを躊躇ってしまうのは、その人物がいつもの幸希じゃなかったから。
「未来」と私の名前を呼び、近寄ってくる人物をじっと見つめた。
「幸……希?」と確認するように彼の名前を口にすれば、目の前の二重の丸い瞳が柔らかい弧を描く。
「そうだよ。髪切ったんだけど……変だった?」
幸希の特徴である癖のある前髪は少し厚めに、耳と襟足はさっぱりと短く、とても爽やかだ。
「ううん! ちっとも変じゃない! カッコいい……」
「ん……サンキュ」