死神の恋

電車を乗り継いでたどり着いたのは、東京駅から徒歩十分ほどの距離にあるショップやレストラン、映画館などが集合した商業複合施設であるプラチナガーデン東京。

施設を取り囲むように飾られたイルミネーションを、幸希と手を繋ぎながら見て回る。青い光を放つイルミネーションは幻想的で、足を止めると食い入るようにその光景を眺めた。

「綺麗……」

白い息を吐き出して、ひとり言のようにポツリとつぶやく。すると幸希と繋いでいた手がするりと離れていった。

幸希の温もりがなくなった手に、冷たい北風があたる。寒さに震えて両手をこすり合わせると、幸希がポケットからなにかを取り出すのが見えた。

「はい、これ。俺からのクリスマスプレゼント」

水色の包装紙にシルバーのリボンでラッピングされた小箱が、目の前に差し出される。

「えっ?」

お礼の言葉よりも早く驚きの声をあげてしまったのは、あまりにも唐突にプレゼントを差し出されたから。それでも徐々に喜びが込み上げてきて「ありがとう」と伝えると、幸希から小箱を受け取った。

「開けてもいい?」

「もちろん」

頬を緩めて尋ねてみれば、幸希がコクリとうなずいた。

幸希はなにを選んでくれたの?

期待に胸を膨らませながら丁寧にラッピングを解くと、小箱の蓋を開けた。

中に入っていたのは、ゴールドのネックレス。先端のハートモチーフには小さな宝石が散りばめられている。

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