死神の恋
もしかして、これってダイヤモンド?
弾かれるように幸希の顔を見上げると、彼の顔にはにかんだ笑みが浮かんだ。
「気に入ってくれた?」
「もちろん!」
私を思って幸希が選んでくれた物を、気に入らないはずがない。
「ほら、つけてあげるから後ろ向いて」
「あ、うん」
かわいいアクセサリーを素敵な彼氏につけてもらう……。
クリスマスイブにふさわしいロマンティックなシチュエーションに胸を高鳴らせつつ、幸希の言葉に素直に従った。
幸希が私の首に巻きついているマフラーをはずす。そしてすぐに、小箱から取り出されたネックレスが私の胸もとに回った。
首の後ろに幸希の指先がちょんちょんとあたるのは、ネックレスを留めるのに苦戦しているから?
たどたどしい幸希がかわいらしく思えて小さく笑っていると、背後から「できた」という声が聞こえた。
先端のハートモチーフにそっと触れて「ありがとう」ともう一度伝えれば、幸希から「どういたしまして」という言葉が返ってきた。
ほんの少しだけ首に感じるネックレスの重みがうれしくて、頬が勝手に緩み出す。そんな私の耳もとに、幸希の甘い声が聞こえてきた。
「未来……」
ささやくように私の名前を呼ぶ幸希の顔が、徐々に近づいてくるのが見える。キスの予感にゆっくりと瞳を閉じると、ふたつの唇がそっと重なった。