死神の恋

もしかして、これってダイヤモンド?

弾かれるように幸希の顔を見上げると、彼の顔にはにかんだ笑みが浮かんだ。

「気に入ってくれた?」

「もちろん!」

私を思って幸希が選んでくれた物を、気に入らないはずがない。

「ほら、つけてあげるから後ろ向いて」

「あ、うん」

かわいいアクセサリーを素敵な彼氏につけてもらう……。

クリスマスイブにふさわしいロマンティックなシチュエーションに胸を高鳴らせつつ、幸希の言葉に素直に従った。

幸希が私の首に巻きついているマフラーをはずす。そしてすぐに、小箱から取り出されたネックレスが私の胸もとに回った。

首の後ろに幸希の指先がちょんちょんとあたるのは、ネックレスを留めるのに苦戦しているから?

たどたどしい幸希がかわいらしく思えて小さく笑っていると、背後から「できた」という声が聞こえた。

先端のハートモチーフにそっと触れて「ありがとう」ともう一度伝えれば、幸希から「どういたしまして」という言葉が返ってきた。

ほんの少しだけ首に感じるネックレスの重みがうれしくて、頬が勝手に緩み出す。そんな私の耳もとに、幸希の甘い声が聞こえてきた。

「未来……」

ささやくように私の名前を呼ぶ幸希の顔が、徐々に近づいてくるのが見える。キスの予感にゆっくりと瞳を閉じると、ふたつの唇がそっと重なった。

< 140 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop